この場所は父の遺したものです。
大正生まれ。福井の小浜が故郷です。戦後、縁あって京都に暮らし、経営コンサルタントの草分けとして多くの企業を支え、生涯を終えました。
父は生まれ故郷について多くを語りませんでした。
亡くなった後、幼少時代を過ごした場所を小浜まで探しに行きました。そこは静けさと美しさに満ちた浜辺で、わたしは言葉を失いました。
あの風景は終生、父の心にあったであろうと思います。
晩年は、テーブルに好きな花を飾ることを楽しみにしていた父でした。
庭の枝垂れ桜も愛しておりました。
この場所がこれから、多くの方の心を寄せていただける場になりますように。「小さな波」が打ち寄せる美しい浜辺になりますように。
素敵な仲間が、豊かでおいしいものや、香りのよいお茶や、美しい音楽などを持ち寄ってくださり、花辺は始まります。
どうぞみなさま、足をお運びくださいますようお願い申し上げます。
花辺
楢﨑十紀
2020年6月 記
建築設計: 柘植勢也(アトリエ・ブランシェ 一級建築士事務所)
造園施工: 中田耕一(植耕)
造園施工: 山下良文
コーディネート: 椹木知佳子(Kit)
屋号揮毫: 池多亜沙子
illustration: Narazaki Toki